2013年4月28日日曜日

ピクルス通信no.203 Nチルドレン

「最近で嬉しかったことといえば」。

学生時分には話しかけては失礼にあたると勝手に思い込んでいた京都「WORKSHOP records」の店主・苗村さんが実のところ気さくな方だとわかるのは、数年ぶりに訪れた私のような貧乏客のことを暖かく迎えてくれたうえ、私が書店員だということを覚えてくれたうえでの話題を提供してくれるあたり。

「村上春樹が来店してね。ぱっとお顔を見て『あっ』と思ったんだけど、スニーカーにジーンズで、あまりに『普通の人』の雰囲気だっただけに「そうかなぁ違うかなぁ」と15分ぐらい悶々としてね。意を決して声をかけさせてもらったら、ご本人。気さくな人だったよ。実はいままで幾度も店には来てくれていたそう。その日はジャズのコーナーだけをじっくり見てけっこうな枚数を買っていただいたよ。」

話の続きの中で、MusicFirstについて同業者ならではの質問もいただいた。当ブログを覗いてくれることもあるそう。

「ブログでよく登場する、りょうかんさんはオーナーさんなの?」

いえ、店主は長谷川さんです。りょうかんさんは音楽にべらぼうに詳しいスタッフです。彼とは月に一度、選曲イベントを一緒にしています。



1. ClielitoLondo(A)
2. Shiny Stockings   (A#)
3. Elbow and Mouth(A)
4. Royal haneymoon (A#)

5. 別れの曲(ショパン)(B)
6. エリーゼのために(ヴェートーヴェン)(B)
7. ハンガリア舞曲第5番(ブラームス)(B#)
8.くるみ割人形より「花のワルツ」(チャイコフスキー)(B)
9. ロンド二長調KV485(モーツァルト)(B#)

10. Stompin' At The Savoy (C)
11. 酒とバラの日々(C#)
12. Li'l Darlin (C)
13. Todo Que E Preciso (C#)

14. Semaforo Rosso (D)
15. Assenza (D)
16.Saudade Da Bahia ~ Das Rosas(D#)
17. Senza Paura (D)
18. La Rosa Spogliata (D)


(アルファベット)が、今回WORKSHOPで購入したアルバムからの選曲。

(アルファベット#)は、それらの「かえし歌」となるようなアルバムからの選曲。


(A)はエド・シグペンのリーダー作、『Out Of The Storm』より。

アウト・オブ・ザ・ストーム(紙ジャケット仕様)

私が最近ジャズドラムを再開したので、その景気づけとして購入した。

シグペンは、我がアイドルのひとり。

「Verveでハービー・ハンコックが参加しているのは珍しいよね」(苗村さん)



(A#)はシグペン関連作品を。

《Shiny Stockings》は『Oscar Peterson Trio Plays 』収録のアッパーチューン。シグペンの的を得たサポートが光る。

《Royal haneymoon》はシグペンは参加していないが、オスカー・ピーターソンつながりで。英国皇太子の成婚祝いとして作成された『Royal Wedding Suite』より。今回の京都訪問は、大阪で結婚式に参加した帰りだった。



(B)はクラシックをサンバ化した作品『Vilinos No Samba 』より。




















試聴のために針を落とした瞬間、お互い破顔一笑。

いなたいというかださいというか、いや、実におもしろい音楽。

「でも、ちゃんとサンバのリズムに乗っているもんね」(N)

(B#)はクラシックをジャズ化したオイゲン・キケロの作品を。

《ハンガリア舞曲第5番》は『Balkan Rhapsody』より。《花のワルツ》は『StarPortrait』より。

どちらもキケロらしい快活明朗な演奏。



(C)ジュニア・マンス『Straight Ahead』 (Capital)。

ストレイト・アヘッド

「最近はアーマッド・ジャマルをよく聴いています。何かピアノでおすすめの一枚をお願いします」という苗村さんが応えてくださった一枚。

「ジャマルね。ある程度のリリカルさは欲しいということだね。ジュニア・マンスは?ちょっとグルーブが強いかな?」(N)

ビッグバンドを背中にしょいながら、それを決して重荷にせず、絶妙に“黒く匂う”ピアノで滞りなくスウィングする。それでいて、マンスの最大の魅力である繊細な「指の重さ/タッチ」に耳をくすぐられる。

試聴の冒頭でノックアウトされて「ありがとうございます。買います」と申し出たが、もっと試聴を続けさせてもらえばよかったと今になって口惜しく思う。せっかくお店の素晴らしい音響設備でオリジナルプレス盤を楽しむ時間だったのに!

(C#) オス・ガトスの『Aquele Som Dos Gatos』から2曲。

E・デオタードによる温和かつ優美なアレンジが冴え渡る作品。ブラジリアンジャズ屈指の中型コンボ傑作と信ずる。



(D) ヴィニシウス/トッキーニョがイタリアでオルネラ・ヴァノーリを招いて録音した『La Voglia La Pazzia』。

La Voglia La Pazzia


「ヴィニシウスの作品と聴いて思い浮かべるだろうある程度の「渋さ」を、良い意味で裏切っているね」(N)

本格的なボサノヴァをイタリア語で、という時点で私としては買い。

そういえば、学生時代の私にボサノヴァのイロハを教えてくれたのもここWORKSHOPだった。

(D#)はヴィニシウスつながりで。『Vinicius E Caymmi No Zum Zum』より。

当時のパートナーはトッキーニョではなくバーデン・パウエル。

太陽と海の男、ドリヴァル・カイミのおおらかなボーカルと、可憐四花、クアルテート・エン・シーのきらめくコーラスのコントラスト。


我々が選曲を担当しているのは月末の水曜。予定はSHIVAのスケジュールページに載ります。また、青木さん若竹のツイートでも告知します。

いつの日か、村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』で印象的に使われているラザール・ベルマン演奏の「巡礼の年」(リスト)を流すこともあるだろう。

街なかのバーにしっくり溶け込むクラシックを聴いていきたい。

この選曲イベントの裏名称は「ショパン・コンクール」なのであるし。


若竹純司(客)*Tw再開しました *

2013年4月25日木曜日

MARK McGUIRE JAPAN TOUR

元エメラルズのマーク・マグワイアの来名が決まって
5/8に得三でライブをやるそうです。

マヘル・シャラル・ハシュ・バズとKEN SEENOもライブをやるとのことで
そちらもとても楽しみです。

前売りの予約も出来たので当日が待ち遠しいです。


りょうかん

2013年4月21日日曜日

ピクルス通信no.202 ウッチー結婚式余興プロジェクト

トヨタ自動車に勤める高校時代からの友人、ウッチーの結婚式で余興を担当した。

流すメッセージビデオの準備・制作は、ともに余興を担当する友人恒川・中山に丸投げだったため、私はビデオが始まるまでの演出を担当した。

その模様は以下のとおり。


* * * * * * * *


司会者「それでは余興のみなさんお願いします」

♪アゲアゲな音楽が鳴り始める(※2)♪ 

(恒川・中山・若竹は手拍子と小躍りをしながらステージへ向かう。会場皆様の手拍子を誘う感じで。浮いてよし。「無理にでも盛り上げてます」感を演出する。)


若竹(きわめてハイテンションのまま)「PAさん、もっと音量あげて大丈夫ですよ〜。ハイッ!みなさんようこそおこしくださいました!我々はケンジ君から34日に投げかけられた「おつかれー。披露宴で余興やってくんない」というさらっとしたメールで呼びかけられた3人でございます。我々はそのメールを見た瞬間、おもわずです、皆さんご存知のウッチーのあの口癖をつぶやきました。「しゃあなしだよぉ?」と。まず我々が企画したのはジャンレノ・妻夫木聡などのドラえもんファミリーや、木村拓哉・北野武らをのせたピンクレクサスGS(※1)が会場後方の扉から豪快に21台ぐらいドン・ドン・ドーンッと突っ込んでくる『G21プロジェクト』。これは1993年に発足しプリウスを生んだ「G21プロジェクト」を参照させていただいたわけなんですが。しかしこれについては、予算、安全性、事務所の問題等で難しいのではないか、ということに気づきました。なによりも、与えられた準備期間が短すぎました。(ウッチーに恨めしい目つきを送る)」

中山「そこで我々は世界中からのケンジ君(ウッチー)の関係者、いわゆる「ケンジンミャク(人脈)」を駆使し、『いろんなひとからの・メッセージ・ビデオ・プロジェクト』略して「IMV(アイエムブイ)プロジェクト」を発足、完遂することができました。

若竹「説明しましょう。IMVプロジェクトですね、これは2002年に発表された東南アジアなど新興国市場を開拓するトヨタ世界戦略車プロジェクト「IMV(innovative international multi-purpose vehicle)プロジェクト」を参照させていただきました!」


恒川「さらに、あいかさん(花嫁)に知っておいてもらいたいケンジ君の本性を暴露する二人のキーパーソンへのインタビューを敢行する『トヨタ・へ・行こうプロジェクト』も水面下で進行させました。

若竹「はい、これは1997年から始まり日本の環境広告を変えたと言われる「トヨタ・エコ・プロジェクト」を参照させていただきました!」



3人「それではご覧ください。(プロジェクターを指差して)プロジェクター、スタート!!」


(ビデオ始まる)



* * * * * * * *

※1 この点はリサーチ不足だった。トヨタが正式に発表したのはピンクのクラウン。


レクサスGS
新型クラウン

※2 シカゴ出身の女性ヴォーカル・トリオCOFFEEが'80年に残したデビュー曲"CASANOVA"!を使用した。疾走感溢れるブギー・トラック。冒頭から手拍子が入っており、華やかなパーティーの幕開けを予感させるに充分。



タイトルの"CASANOVA"はいうまでもなくジャコモ・カサノヴァのこと。


「女たらし」の代名詞だ。



若竹純司(客)

2013年4月18日木曜日

CD新入荷

本日はジャズのCDを結構出しました。


今日は暖かいを通り越して暑いくらいの一日でした。



りょうかん

2013年4月15日月曜日

ピクルス通信no.201 上諏訪めぐり

JR普通列車が1日乗り放題となる「青春18切符」をもらったのが22時。

使用期限と私のオフの日を照らし合わせ、使用できるのは明日のみ。

2230分に候補地を「諏訪湖」に決めた。

上諏訪には温泉があるというし、名古屋からは「旅」といえる距離があるし。

23時、帰宅途中の駅窓口で「13時頃まで上諏訪駅」をゴールとした乗り継ぎプランを駅員さんにたずねる。

3分もしないうちに「836分《名古屋》発・普通列車・《中津川》行に乗って、◯◯時に《中津川》着。◯◯時発◯◯行きに乗り換え《塩尻》まで。《塩尻》で◯◯線に乗り換えて12時45分に《上諏訪》着。」とご回答。


翌当日、定刻通りスタート。

教えてもらったどおりに乗り継ぐだけ。

名古屋駅から北へ東へ。

窓。桜前線を逆行している。


《上諏訪》駅着。まずは窓口で帰りの電車乗り継ぎプランをたずねる。

「《豊橋》経由、飯田線で名古屋まで帰れますか」

「今日は無理。1615分発か1859分発に乗って《塩尻》《中津川》経由でどうぞ」

プロに聞くのが一番早い。


電車内、食べログでみつくろった蕎麦屋「とみや」へ。

小さいながらも歴史を感じる店構えの暖簾をくぐると、平日でありながら店内は地元常連客で埋まっている。

つきだしが出た。

ホタルイカの酢の物、紫蘇風味の大根漬け物が美味しい。

ざる大盛り(880)と天ぷら盛り合わせ(600)を注文した。

ふきのとうの天ぷらが旬の味わい。野菜が美味しい。畑を持っているのだろう。

諏訪湖散歩スポットとおすすめの日帰り風呂施設を世話好きの若女将から教えてもらい、店を出た。


湖畔に立てば、諏訪湖すべてが視界におさまる。

山の稜線や遊覧船を目の端に置きつつ歩く。

芝生が多いので新聞紙をひろげて寝転がってみる。気取ってみた。 



湖をなめた風が強い。体も冷えてきた。

そろそろと日帰り温泉施設「片倉館」へ。



国重要文化財指定。

もともとは製糸業で財をなした片倉組の保養施設として建てられた。

昭和3年(1928年)完成。設計したのは旧久邇宮邸(現聖心女子大学パレス)、本所公会堂(現両国公会堂)が代表作の森山松之。

大理石造りの大浴室の格調に息をのむ。

浴槽は胸元までの高さまであり、下に丸い石が敷き詰められており、足裏を刺激する。

大きなすり硝子が湖に面しており、陽射しがさんさんと射し込む。

タイルに横になり、日光浴と寝湯をいただく。

入浴後は2階の無料休憩室からつづくテラスに出、茶を飲んだ。




いい天気だ。

入浴料600円。タオル類も小銭ですんだ。

我が銭湯記に「甲。極楽。」と記す。



眠くなるのは風呂上がりの2時間後というのが相場。

その時はすでに名古屋への車内だった。

隣に座る人がこっくりこっくりを始めたので、私はその日の朝刊を広げることにした。

文化欄に名古屋は川名マンドリンの音の博物館」館長、南谷博一さんのエッセイが載っていた。


そういえば、このピクルス通信は音楽について書くのが約束だったっけ。


若竹純司(客)

2013年4月11日木曜日

4月11日

本日4月11日はももいろクローバーZ始動記念日です。



先日2ndアルバムが発売されました。
1stアルバムのバトル・アンド・ロマンスみたいに「5TH DIMENSION」もアナログでも
リリースしてほしいなと思いました。




りょうかん

2013年4月7日日曜日

ピクルス通信no.200 SUNRISE SAKAE



次に流れたのはシューベルトの即興曲だった。

細やかな旋律が縦横する作品90第2番。耳をくすぐる。



窓を見やる。

噴水から水という水がリズミカルにすだれている。

上弦だけ確認できるサンシャインサカエの観覧車はまだ動いていない。

南東からの陽射しをうけて銀光りするテレビ塔。





中日ビル2階、北西に大きくガラス張るサンモリッツで朝刊を読む平日。



モーニング・サービスはドリンク代でサラダとトーストがつく。

キャベツ、ニンジン、キュウリ。サラダにかかるのは、いたって普通のシーザードレッシング。

トーストには小倉あんがつく。スプーンですくって好みだけ盛る。甘さ控えめのあんがバターの塩気を引き立てる。

いたって普通のコーヒーも厚味のあるカップで飲めば酸味やわらか。

カップの側面を削る赤い社名ロゴが嬉しい。「St.Moritz」ではなく「サンモリッツ」とカタカナなので。



土日はいざ知らず、平日の朝はとても空いている。

ほおっておいてもらえるほどに広い。接客もきちんとしている。

栄でいたって普通のモーニングを求めるのなら、最高峰と叫びたい。



窓を見やる。

蛍光ビブスの皆様が久屋大通公園に箒をかけていく。

青い市バスが「栄」交差点を曲がる。赤い名鉄バスが「栄」交差点を曲がる。

信号待ちのジョガーが足踏みを続ける横でサラリーマンがタブレットを鞄から取り出す。

会計を終えた私はそのままエレベーターに乗り込む。

ヤング・ジョブ・あいち」は12階だ。上へ、上へ。


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サンモリッツ中日ビル店

愛知県名古屋市中区栄4-1-1中日ビル2F
営業時間/9:00~21:00
モーニングサービス/9:00~11:00
TEL: 052-261-8939
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若竹純司 (客)

2013年4月4日木曜日

バーゲン LP

今日は¥300のバーゲンLPを中心に出しました。

ロック、ジャズ、ソウルなどのLPです。


りょうかん

2013年4月1日月曜日

ピクルス通信no.199 レッツ・シング・ア・ソング



「さしのぼる朝日のごとくさわやかにもたまほしきは心なりけり」明治天皇

あっ、ジャズの名曲《朝日のようにさわやかに (Softly as in a morning sunrise)》の元ネタは御製歌でしたか。



千種・正文館本店「岡井隆フェア」棚にて購入しました。

岡井隆馬場あき子永田和宏穂村弘の4氏が選者となり、近現代百人の歌人の名歌を精選しています。

なぜその一首を選んだかの解説や鑑賞のポイント。取り上げられた歌人が残したその他の秀歌も紹介されています。

新書のため、開閉は滑らか。携帯にもよし。読みやすい大きな文字組となっています。




「いちはつの花咲きいでて我が目には今年ばかりの春行かんとす」正岡子規

「あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ」小野茂樹

「ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲」佐佐木信綱

「君かへす朝の敷石さくさくと雪よ林檎の香ごとくふれ」北原白秋


口誦してみたり。黙誦してみたり。「しらべ」を口に転がす日々を続けてみます。



「ボケ岡と呼ばるる少年壁に向きボール投げをりほとんど捕れず」島田修三

「日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係も」塚本邦雄

「たぶんゆめのレプリカだから水滴のいっぱいついた刺草(いらくさ)を抱く」加藤治郎


自分が世界に対してなんとなく掴んでいたイメージと共振する歌に出会うこともあれば、これまで掴みそこねてきたイメージを喚起してくれる歌もあります。



「白埴(しろはに)の瓶(かめ)こそよけれ霧ながら朝はつめたき水くみにけり」長塚節

とくに気に入った一首ですが、なぜ気に入ったのか、いま言葉にはできません。

言葉にできる人はきっと歌をよめる人なのでしょう。でしょうか。



横書きにて失礼しました。


若竹純司(客)